山梨の山奥へ ~元気村物語3~
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2011年8月19日
そしてパン屋を辞めた父は新たに会社を立ち上げ
山梨の山奥へと向かいました。
もう使われていなかった農協の跡地を使わせてもらい
地元の桑葉生産組合の方の協力を得て
桑を育てながらさらなる桑の葉の研究開発と
他にも様々な健康に繋がることを手がけ始めました。
山梨は一之瀬桑という良質な桑の発祥の地でもあります。
かつて一之瀬桑はここから全国に広がり
日本の養蚕を支えました。
しかし、養蚕業が衰退していく中で桑畑も荒れ
荒れた桑畑を何とかできないかというのは地元の課題でもありました。
その桑葉をお茶にする。
そんな父の提案は地元の希望でもあったのです。
良質な桑葉が収穫でき、お茶にするという段階で
一つ問題がありました。
桑葉をお茶にする際に、
ただ日干しにして乾燥させるだけでもお茶にすることはできます。
しかし桑葉に含まれる酵素の発酵が進み
綺麗な緑色が破壊されて茶色っぽい色に変色してしまうのです。
それだけではなく、酵素が桑葉の有効成分まで
破壊してしまうというのです。
それを防ぐためには
桑葉を加工する前に蒸気などであぶり
葉にある酵素を先に壊すことが必要となります。
その為には、どうしても製茶工場での加工が必要でした。
しかし、どこの製茶工場も桑葉の加工の話を持っていくと
良い顔はしませんでした。
「臭いがつく・・・」
「うちは緑茶いがいのものはやらない」
「ほかをあたってくれ」
せっかく良い桑を収穫しても
それが加工できなければ全てが水の泡です。
話を通すためにあちこち駆けめぐりました。
その結果、やっと一カ所
週に一度だけという条件付きで
使わせてくれるところが見つかったのです!
そして、新しい山梨の桑茶が誕生したのでした。
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